
ドローンによる各種テロ の恐怖

1 ドローンによる高圧線テロ
防衛が困難なのは高圧線です。ドローンは急速に性能を向上され、しかも誰でもが入手可能な価格帯まで低廉化されました。個人でも未成年者でも特定の小集団でも、ドローンによる高圧線テロが可能です。そのため高圧線の長い距離を防衛するのは極めて困難です。
高圧線テロ
送電線に関してはテロの参考にされる心配があるので誰もが思い付く範囲で、あるいは少しの努力でパソコンやスマホで調べれば判る範囲内で記述します。
送電線のは裸線
発電所から都会の消費地までの送電は、送電効率を考えて高圧に変換して送電しています。275キロボルト、500キロボルト、1000キロボルトなどです。このレベルまでの高圧になると電流は電線の表面部分のみを流れる性質があり、高圧の送電線には絶縁体の被服がありません。有っても意味がなく邪魔なのです。したがってアルミ製の裸電線が何十キロメートル、何百キロメートルと延々と続いています。
送電線の構造
高圧送電線の構造には各種のものが有りますが、重量の関係でアルミニウムが使用されます。電流は表面のみを通るので中央が空洞の場合もあります。そのアルミ線や中空アルミの電線を数本束ねて使用します。20本とか30本とかです。それを2本平行に使用して500キロボルトを送り、4本を平行に使用して1000キロボルトを送ります。アルミだけだと引っ張り強度が不足するので、強度を増すために中央に鋼線を入れます。したがって、どの方向からも裸のアルミ線に接触することが出来ます。最近はアルミの空洞のスペースを利用して通信用のグラスファイバーを通す構造もあります。
送電線は鉄塔に碍子で固定されています。碍子は文字通り焼き物です。ですから日本では香蘭社が最初に製作に成功しました。高い絶縁性能を要求されるので、もしこの碍子をドローンにより何らかの外力で破壊されると、あるいは絶縁度を低下させられる物質を掛けられると送電は停止します。送電線は僻地に多いので修理には相当の期間を要します。
送電の仕組とショートとテロ
送電は三相で行われるので、3本の電線で構成されています。その3本が鉄塔の片側に配置されるのが普通です。鉄塔の反対側には予備の3本が配置されています。保守などのために交互に使用するのです。もし片側が不具合になると変電所で自動的に線を切り替える仕組になっています。鉄塔の一番上には、通常、アース線が1本張られています。雷対策です。
送電は三相なので、どの電線間でも電位差が有ります。すなわち、どの2本でも別の針金を接触させればショートします。接触させる金属の種類と太さによりますが、多くの場合は火花を出してショートし表面は破損するでしょう。破損の程度によりますが、多くの場合、送電は不可能になります。むろん断線する場合もあり得ます。

電力会社は、送電線がショートした場合には、直ぐに送電を停止し、予備の回線に切り替えます。もし予備の回線もショートした場合には、その場所を確認して7秒か8秒後には、事故の場所の前の部分にまで送電を再開します。
ただし送電を停止したときに、テロによって送電を中止した複数箇所に導体を掛けられた場合には、その確認が相当に困難になると思われます。
2 ドローンによる変電所テロ
ドローンによるテロで最も心配されるのは、発電所と変電所と高圧送電線です。発電所は原子力発電所も火力発電所もドローンテロに極めて弱いことが指摘されています。
また変電所は送電系の各所にあり、より防衛が困難です。もし変電所のトランスが破壊されると代替品の生産には長い期間を要します。その期間に都市は壊滅し、産業は衰退し、国家経済は破綻します。送電系にはネットワークがあり迂回路が設定されていますが、数カ所の変電所でテロが成功すれば迂回路は機能できません。日本は国の形状が細長いので、とくに不利な状況にあります。
ちなみに米国では主要な11の変電所がテロによって破壊されると、米国の産業は壊滅状態になり都市も機能しなくなることが警告されています。
発電所と変電所は拠点なので、膨大なコストは必要は必要とされますが、ある程度の防衛は不可能ではありません。
3 ドローンによる原発テロと発電所テロ
大都市への電源の供給が停止したときの損害
現在の都市のインフラの大部分は、電源がないと機能できません。想像を絶する状態が出現します。通信、交通、運輸、医療、水道、ガスなどのインフラは全て停まります。例えば、情報・通信関係ならば、放送も、新聞も、インターネットも、マイクロ波通信も、衛星通信も、交通信号も、電車の運行命令も、工場への製造命令も、電話も、スマホも、全てが安全とは言えません。ほとんど機能しなくなるでしょう。生活関係ならば、エレベーターが動かなくなります、物流がも滞り商品が店頭から姿を消すでしょう、水道も断水し飲み水も料理のための水もなくなります、ガスも圧力が掛けられなくなり出なくなるでしょう。医療関係では、手術ができなくなり、多くの検査ができなくなります、医薬品の入手も困難になるでしょう。その結果、病院では治療ができなくなります。経済関係では、しかも数ヶ月にわたって停電が継続することもあり得ます。
大都市にある、とくに東京に集中している本社機能は、国内的にも国際的にも完全に停止します。日本の経済は麻痺します。
市民生活は完全に破壊され、国内難民が大量に発生します。その経済損失は一都市だけで50兆円から100兆円でしょうか。全国の主要な都市が送電線テロの被害に遭うと、500兆円を上回ることも想定されます。最終的には日本国は消滅するでしょう。数千万人の死者が出るでしょう。
一方、ドローンを規制しないで得られるメリットは、市場規模で2000億円以下でしょう。利益率を20%と仮定しても、たかだか200億です。
貴方は、どちらを選択しますか?
ドローンの法的規制
原則としてドローンのような新技術は大いに発展させるべきでありますが、それには大きな条件があります。ドローンによるテロを、あるいは戦闘を完全に防御出来る技術や防衛システムの開発と法的な整備が整うことです。
それまでは充分以上の管理体制が不可欠です。状では、防御技術も防御システムも法的な整備も不十分であると判断されます。

ここに記述している内容は、複数の専門家、専門分野の大学名誉教授・教授に直接お目に掛かって確認しています。また電力各社は充分に送電線テロの危険を認識しています。国土地理院の地図にも場所の掲載を拒否していますが、送電線の配置図の概要は各電力会社から「系統制約マッピング」として発表されているので、地上での目視観測と合わせれば送電線の位置を特定することは可能です。
なお地下ケーブルによる送電には膨大なコストが必要で、発電所の立地から消費地までの送電線の大部分を地下化することは現実にはあり得ません。
発電所の配置を含めた大規模な対策で、電源インフラの頑健性の促進する必要があります。
同時に効果的なテロ対策も急務です。